玄関周りは侵入窃盗や置き配盗難など、複数の犯罪リスクが集中する場所です。
防犯カメラを設置する際、多くの方が「来客の顔を確認できればいい」と考えがちですが、実はこれだけでは不十分。犯罪の証拠として使えるかどうかは、顔が識別できる映像が撮れるかで決まります。
警察庁の統計でも、顔が鮮明に映った映像は検挙率の向上に大きく寄与することが示されています。しかし、適切な位置・角度で設置しなければ、いざという時に「顔が小さすぎる」「逆光で真っ暗」といった理由で証拠にならないケースも少なくありません。
この記事では、玄関の防犯カメラを「顔が映る位置」に設置するための具体的なポイントと、来客対応カメラとの違いを解説します。
もくじ
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来客対応と防犯は別物|ドアホンカメラの限界
玄関のドアホンカメラは、あくまで来客確認を目的とした設計になっています。
一般的なドアホンカメラの特徴は以下の通りです。
- 設置位置が高め(約1.4〜1.6m)で、訪問者の全身を映す画角
- 夜間性能は補助的
- 録画機能があっても保存期間や画質が限定的
これらは「誰が来たか確認する」には十分ですが、犯人の顔を特定する証拠映像としては不向きです。顔が画面の一部にしか映らず、画素数が足りないため、いざ警察に提出しても識別できないケースがあります。
一方、防犯・証拠撮影用のカメラでは、顔の大きさ・角度・照度を優先した設計が求められます。学術論文でも、顔1枚あたりの画素数や撮影角度が認識精度に直結することが示されており、目的に応じた設置が不可欠です。
顔が映る位置・高さ・角度|3つの鉄則
顔をしっかり撮影するには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。
1. 設置高さは「低め」が基本
一般的な監視カメラは高所(2.5m以上)に設置されることが多いですが、これは広範囲を見渡すため。顔重視の場合は地上1.8〜2.2m程度が目安とされています。
高すぎると俯瞰になり、顔が下向きで映ってしまい識別しにくくなります。一方、低すぎると破壊されるリスクがあるため、バランスが重要です。
2. 角度は「正面〜斜め」で顔が中央に
玄関ドアの真横ではなく、ドア前の動線上で顔が画面中央に来る位置に設置します。
広角レンズは端に行くほど歪みが大きくなるため、顔が端に映ると正確な識別が困難です。業界ガイドラインでも、正面または斜め30度以内の角度が推奨されています。
3. 距離は2〜3m以内を目安に
顔を識別できる解像度を確保するには、カメラと被写体の距離も重要です。メーカー資料によると、2〜3m以内であれば、フルHD(200万画素)クラスのカメラで十分な画素数が得られます。
それ以上離れると、顔が小さくなりすぎて特定が難しくなります。
逆光・夜間対策|照明条件が顔識別を左右する
どれだけ位置が良くても、逆光や暗闇では顔が映りません。
逆光を避ける配置
日中、玄関ドアの背後に太陽がある時間帯は、訪問者が逆光で真っ暗になります。カメラの向きを工夫するか、WDR(ワイドダイナミックレンジ)機能を持つ機種を選ぶことで、明暗差を補正できます。
夜間はIR照明が必須
夜間撮影では、赤外線(IR)照明が搭載されているかが重要です。メーカーの技術資料でも、IR照明なしでは顔の輪郭すら判別できないケースが多いと示されています。
ただし、IR照明が強すぎると顔が白飛びすることもあるため、実際の映像で確認しながら調整が必要です。
設置時の注意点|法的配慮と運用リスク
顔がしっかり映る位置にカメラを設置する際、以下の点に注意が必要です。
公道・隣家への配慮
玄関前の公道や隣家の敷地を過度に撮影すると、プライバシー侵害やトラブルの原因になります。個人情報保護法や自治体のガイドラインでも、必要最小限の範囲に留めることが求められています。
画角を調整し、自宅の玄関前だけが映るように設定しましょう。
定期的な動作確認を
設置後も、定期的に録画映像を確認することが重要です。業界の実務知見では、「設置したまま放置して、いざという時に録画されていなかった」という失敗事例が少なくありません。
レンズの汚れ、角度のズレ、録画容量の不足などを定期的にチェックしましょう。
まとめ:顔が映る位置こそ防犯の核心
玄関の防犯カメラで最も重要なのは、犯人の顔が識別できる映像を残せるかという点です。
来客対応用のドアホンカメラとは目的が異なるため、以下のポイントを意識して設置しましょう。
- 設置高さは1.8〜2.2m程度(顔が正面〜斜めで映る位置)
- 距離は2〜3m以内で顔が画面中央に来る配置
- 逆光・夜間に対応できる機種選定(WDR・IR照明搭載)
- 公道や隣家を過度に撮影しない範囲調整
- 定期的な動作確認と保守
防犯カメラは「設置すれば安心」ではなく、顔が映る位置と条件を満たして初めて効果を発揮します。設置前に現地の動線や照明条件を確認し、必要に応じて専門業者に相談することで、より確実な防犯体制を構築できます。

